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【一次創作】Dragoon

『空を駆ける(上)』(サバイバルレース編①)

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久しぶりの創作です。

前回の話から、季節はめぐって春に。
本当は冬の話も書きたかったのですが、すっかり暑くなってしまったので、また次の冬に持越しです(笑)
ちなみに、舞台となる竜騎士学園は秋から新学期が始まるので、春になっても学年は変わっていません。

今回から、東寮生が沢山出てくる「サバイバルレース編」です。
物騒なタイトルですが、皆で和気藹々としています(*^_^*)全3~4話の予定。
『空を駆ける』はリジーを中心とした話ですが、ほとんど新キャラの紹介で終わってしまい、彼女が活躍するのは(下)の方です。
こちらも近々アップしますので、よろしくお願いします♪

※この話で東寮生が敬語を使うのは、星寮生に対してのみです。それ以外はタメ口と考えてください。







春。
竜騎士学園では、毎年恒例のサバイバルレースが行われていた。


これは実戦のための訓練で、王都の外周を回って学園に戻る速さを競う。
森や丘、荒野を抜け、野宿も必要となる過酷なコースだ。
各寮で学年縦割りのチームを組み、他のチームと戦闘を行いながら進む。
各チーム2頭の竜を連れていくが、戦闘や偵察のみに用い、移動に使ってはならない。



上級生はレースの勝敗にこだわるが、下級生の多くはこの行事が嫌いだ。
リジーも、参加が憂鬱な1人である。
極度の恥ずかしがり屋で人付き合いが苦手なのに、6人ものチームメイトと行動を共にしなければならない。
6人中3人は良く知っているメンバーだが、仲良しのシェアナと別のチームになってしまったのは不安だ。




「せんぱーい!そろそろ休憩しませんか?」
6年のセザールは、もう何度目か分からない提案をした。
かなりの暑がりらしく、短く刈った金髪の間から汗がしたたり落ちている。

「まだ出発したばかりでしょ?30分しか歩いてないわ」
星寮生のアンヌがたしなめる。
星寮は7年以上在学している生徒が入る寮で、寮生は監督役として各チームに入っている。
丸い大きな目をした、童顔のアンヌは、5年か6年と言っても通用しそうだが。

「6年なのに、だらしがないわね。下級生を見てごらんなさい」
「こいつらと一緒にしないでくださいよ!普通じゃないんだから。それに、1時間以上歩いてますよ」
セザールは、鼻に皺をよせて抗議した。



彼に「普通じゃない」と言われたメンバーは以下の通りだ。

まず、5年のエリアナ。
東寮の女子生徒の中で最も背が高く、剣術と攻撃系の魔法を得意とする。
つり目の美人顔が、彼女を一層強そうに見せていた。

また、4年のラーシェスは、学園一の秀才と言われる。
ライオネルは、まだ2年生でありながら、大きな傷跡のある顔と喧嘩の強さで、異様な貫禄がある。

リーサとリジーは、一見大人しい女の子だが、ラーシェスの後輩というだけで十分に「普通じゃない」
……とセザールは考えているのだ。

リジーにしてみれば、セザールに警戒されているおかげで、あまり話しかけられないのは嬉しいのだが。




「僕は賛成です。森に入る前に休憩しましょう」
ラーシェスがアンヌに言った。
学園から森までの間は戦闘禁止だが、森に入ったところから攻撃が解禁される。
その前に休んでおいた方が良いと言う。

「そうね。大分遅れてるけど、これから巻き返せばいいじゃない」
エリアナも同意し、草むらで休むことにした。
リーサとライオネルの2人は、竜に乗って偵察に出かける。


良く知っている3人のうち2人が居なくなってしまい、リジーは益々不安になった。
仕方なく、残ったラーシェスの後ろに、隠れるように腰を下ろす。
エリアナが、竜から下ろした荷物から水筒を取り出し、4人に配ってくれた。


「ようし。それじゃあ、作戦を立てるとするか」
一息ついて元気になったセザールは、首に掛けている水晶の玉を覗き込んだ。
この水晶には、レースの現状が映されている。
「えーと、俺達は40チーム中32番目だな」
「そんなに遅いの?だから休む暇は無いって言ったのに」
アンヌが頬に手を当て、ため息をつく。

「でも、後ろの8チームは全部西寮生ですよ。俺達にかかれば、一瞬で全滅させられますって」
セザールは、自信満々で胸を叩いた。
西寮生は東寮生に対して魔力が低く、今までレースにおいて上位に入ったことはない。
「俺とラーシェスは、植物系の攻撃魔法が得意なんです。エリアナは、攻撃系なら何でも得意。今偵察に行ってる2人は竜の扱いが上手いようだし、森の中でもちゃんと操れるんじゃないですか?森に入ってしまえば、断然有利ですよ」
そこで言葉を切り、ラーシェスの背中の辺りに目を向ける。
「それで、君は何が得意なんだい?」

リジーは、座ったままピョンと飛び跳ねた。
それから、恐る恐るラーシェスの後ろから顔を出す。
「え、えと……浮遊魔法」
「浮遊魔法?何が飛ばせるの?」
「じ、自分を」
「リジーは、自分の体を浮かせて、空中を駆けることができる」
見かねたラーシェスが補足する。

「へぇ、なかなか凄い特技じゃない!竜とかに乗らなくても飛べるなんて」
エリアナが目を見開く。
「あんまり長くは飛べない、けど」
急に注目されて、リジーは耳まで赤くなった。
「そりゃいいな!何でもっと早く言わなかったんだよ」
セザールはそう言うが、リジーの方から彼に話すわけがない。
「先輩は変身魔法でしたよね?」
「そうよ。何でも、御望みの姿に変えてあげましょう」
アンヌは澄まして言った。


そこへ、リーサとライオネルが戻ってきた。
「すぐ前のチームは、森の真ん中あたりまで進んでる。南寮生だ」
ライオネルが報告する。
「森の出口の方は、竜が沢山飛んでいて近づけなかったよ。たぶん戦闘中なんじゃないかな。3チームはいたと思う」
リーサの言葉に、一行は笑顔になった。
3チームが戦っているとなれば、2チームは脱落する可能性がある。


「さぁ、これで10位くらい上がれそうだぞ!気合入れていくぞ!」
セザールが拳を突き上げた。


これから彼の立てる作戦の中で、リジーがどれほど重要な役割を果たすのか――

彼女は、まだ知らない。





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~ Comment ~

こんばんは!
感想ありがとうございます(*^_^*)

そうですね~
サバイバルレースは、言ってみれば体育祭のような感じです。
ただ、結構ガチなバトルなので、それなりに危ないことはあります。
もちろん、深刻な事態にならないよう安全管理はされているのでご安心を^^

東寮生は変な人が多いですね(笑)
セザールは、彼が自覚しているように一番「普通」なキャラかもしれません。
リーダーシップはあるのですが、すぐに弱音を吐きます(^_^;)

東寮生以外は、どこで出そうかタイミングを計っているところですw
シャーリは未定なのですが、ドランディーはメインで活躍してもらおうかと思っていますよ。
残念ながらトルディオはレースに参加しませんが、観戦組としてフェルマン先生との絡みがあるかも?

なるべく色んなキャラを出していきたいなぁと思っているので、今後もお楽しみいただけると嬉しいです♪
コメントありがとうございました!

こんばんは!!
週末と言いつつ、週明けになってしまい、本当にすいませんm(__)m
ささやかですが、感想を書かせて頂きます~

新シリーズ始まりましたね!!
ほのぼのバトルで、安心して読めそうです。
サバイバルと言っても、深刻なものではなく、スポーツみたいな感じなのかなと思いました。

体育会系セザールさんや、童顔お姉さまのアンヌさん、ハンサムガールエリアナさん、皆一癖も二癖もあって、物語が盛り上がりそうですね!

セザールさんは、直球でさっぱりした性格が素敵です。
移動にバテながらも、心身ともに回復力の早さが持ち味なのだなぁと思いました。
セザールさんの「普通じゃないんだから。」というセリフから、メンバー紹介に移っていて、物語の流れが掴みやすかったです。

それぞれに得意な魔法があり、バトルや展開の幅が広そうで、楽しみです。
同じチームではないキャラ達と、どんな風に戦うのか、新しい一面が垣間見れそうです!
シャーリちゃんは、凄く張り合ってきそうですねー

リジーちゃんは、自分の能力に自信がなさげですが、次回活躍フラグが立っているので、セザールさんの作戦とともに、活躍がみどころですね!

ラーシェスくんの、同世代の年上との付き合い方やポジションが分かって、上級生からも一目おかれている存在なんだなぁと改めて実感です。

次回もそれぞれの活躍に期待です!

ではでは、長文失礼致しました!
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