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【一次創作】Dragoon

『空を駆ける(下)』(サバイバルレース編②)

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前回の続きです。
6月中にUPする予定でしたが、7月も半ばになってしまいましたorz
後半、詰め込みすぎて少し長めです。

次回はドランディー中心の予定。
最後のメインはまだ考え中です。

それでは、後半もお付き合いくださいませm(_ _)m





リジーは、1人で森の中を歩いていた。

時折吹く風が木々を揺らし、木漏れ日が足元で舞う。
生徒達が踏みしめてできた小道の両側には、甘い香りのする花が咲き、その上を蝶が舞っている。


背後から、誰かの声が聞こえた気がして、リジーは立ち止まった。
一羽の蝶が彼女に近づき、アンヌの声で言う。
「来たわよ」

リジーは大きく息を吸い込み、叫んだ。
「みんな~!どこ~?」
思ったより弱々しい声になってしまったが、後方の西寮生まで届いたらしい。
「あそこだ!」
誰かが叫び、大勢の足音が迫ってきた。



リジーは走った。
早く走る必要はない。
なるべく多くの生徒を引きつけるのが、彼女の役目だ。

ほとんどの西寮生は、単独では他寮生に敵わない。
だから、チームから逸れてしまった生徒を見つけたら、チャンスとばかりに襲ってくるに違いない……
セザールは、そう考えたのである。


たちまち、10人ほどの西寮生がリジーを取り囲んだ。
「東寮生だ!ラッキーだな」
「さぁ、大人しく捕まりなさい!」
彼らが手を伸ばしてきたところで、リジーはふわりと浮きあがった。
その瞬間、地面から木の根が飛出し、西寮生達に巻きつく。
「うわああああああ!」
ふいを突かれた生徒達は、ぐるぐる巻きにされて地面に転がった。


リジーは彼らを飛び越えて、更に走った。
その脇を、2羽の蝶がピタリとついて行く。
前方の木の陰から、先回りしていた西寮生が5人、飛び出してきた。
「相手は1人だ。ひるむなよ」
リーダーらしき少年の声に、全員剣を抜いた。

同時に、蝶がエリアナとアンヌに変わった。
エリアナが呪文を唱えると、周囲の木の枝が急激に伸び、5人をなぎ倒した。

「いてぇ!」
「敵は他にもいるぞー!逃げろー!」
倒された生徒達が叫ぶが、既に遅い。
いつの間にか、伸びた木の枝や根、太い蔓や長い雑草が道を覆い隠していた。
リジーを追いかけていた生徒も、その後ろから森に入ってきた生徒も、巨大な植物の檻に囚われてしまったのだ。


「ほらほら、どうした!かかってこいよ!」
セザールは笑いながら剣を抜き、次々と西寮生に切りかかった。
逃げ場を失った敵陣は、仕方なく応戦するが、全く相手にならない。
すぐに剣を弾き飛ばされ、両手を挙げて降参する。
竜を連れた生徒達は、障害物だらけの道に悪戦苦闘していた。
そこへ、ライオネルが竜に乗って突っ込んで行く。




「さて、と。何人捕まったかな?」
敵から奪い取った剣を放り投げ、セザールが聞く。
「35人だな」
蔓で捕虜を縛りながら、ラーシェスが答える。
そこへ、竜にまたがったライオネルが駆けて来た。
「竜が8頭しかいないぞ!残り半分は上だ!」
「チッ」
セザールは舌打ちして空を見上げた。
森の上空では、リーサが1人で見張りをしている。


セザールは、他のメンバーを呼び集めた。
ライオネルと、鳥に姿を変えたアンヌは空へ飛び立った。
暫くして、アンヌだけが戻って報告する。
「向こうは、竜に2人ずつ乗ってるわ。あの子達じゃ、攻撃を避けるだけで精いっぱいね」
「先輩は、捕虜の見張りとして残ってください。他の連中は、俺と上へ登るぞ」
「ちょっと待って」
エリアナがセザールを遮った。
「私は、貴方ほど魔力が強くないのよ。ここら一帯に魔法をかけるのに、だいぶ消耗してしまったわ」
「そうか。君はどうだ、リジー?」
セザールに聞かれ、リジーはとまどった。
正直、ほとんど体力は消費していない。
しかし、攻撃系の魔法は苦手なのだ。
自分が参戦しても、何もできないのではないだろか。

「君は、森の上まで飛んで行けそうか?」
「は、はい。でも、自分を守るのに精いっぱいかも……」
セザールは暫し考え、今度はラーシェスに顔を向けた。
「リジーを通して、攻撃魔法を出すことは可能かな?」
「それは、できると思うが」
ラーシェスが怪訝な顔をしたので、セザールは口を尖らせた。
「俺は戦法は考えられるが、魔法の組み立て方は自信が無いんだよ!
よし、お前を森の天辺まで上げてやるから、後は指示通りやってくれ。
リジーは、自力で上がってこれるな?」

「はい。大丈夫、です」
「了解」
2人が返事をするや否や、セザールは呪文を唱えた。
太い枝がするすると降りてくる。
セザールは、ラーシェスを軽々と右肩に担ぎ上げ、枝に捕まった。
「おい!?何するんだ!」
ラーシェスの抗議を無視して、枝は大きくしなると、空を切り裂く音と共に2人を吹っ飛ばした。



リジーが慌てて後を追っていくと、2人は大木の枝にしがみついて口論をしていた。
「いきなり人を荷物のように担いで、どういうつもりだ?危ないだろうが!」
「こうするのが1番簡単なんだよ!リーダーには黙って従え!」
そんな彼らの隣で、リジーは暗い表情で空を見上げる。

8頭の竜が、リーサとライオネルを取り囲んでいた。
敵は、交互に2人に体当たりをして、竜から振り落とそうとする。
更に、手綱を持っていない方の生徒は、剣先から攻撃魔法を飛ばしている。
リーサとライオネルは、素早く身をかわしているが、相手の数が多すぎて、なかなか反撃ができない。
あそこに参戦するのかと思うと、気が滅入ってしまう。

「今から、俺がラーシェスに魔力を送る。それを、ラーシェスが上手いことしてリジーに仕込む。
リジーは、さっきみたいに走り回ってくれ。味方には近づくなよ」
ひとしきり口論した後、セザールが息をきらせて言った。
リジーは覚悟を決め、無言で頷いた。

セザールが呪文を唱える声に、ラーシェスの声が重なる。
リジーは緊張で身震いした。
やがて、光り輝く帯状のものが、リジーの周りに現れた。
ラーシェスが、詠唱を続けたまま、身振りでそれを掴めと合図する。
リジーは光の帯を掴み、戦闘の真っただ中へ飛び込んだ。


「リジー!?」
リーサが驚いて目を見開く。
敵チームも、突然現れたリジーを見て一瞬動きを止めた。
いち早く我に返ったライオネルが、敵の1頭に体当たりする。
それを合図に、再び戦闘が開始された。


リジーは竜達の間を縫って、ひらりひらりと駆けていく。
攻撃を避けるだけなら、大きな竜より、小柄なリジーが断然有利だ。
リジーは、一段と高く飛び、下を眺めた。
こんなに高く飛んだのは初めてだ。
先ほどまでの不安な気持ちは消えて、今ならどこまででも飛べそうな気がする。


手に持った帯が、強く引かれる感触があった。
見ると、帯が敵の竜達に巻きつき、締め上げている。
敵チームは、事態を飲み込めずに茫然としている。
セザールとラーシェスが、腕を振って「降りて来い」と合図した。

リジーは、帯を握りしめて降下を始めた。
「ひやぁぁぁぁぁぁ!」
「落ちる!落ちる!」
敵チームは帯から逃れようと手足をバタバタさせながら、ゆっくりゆっくり森に沈んでいった。




「お疲れさまー」
地上で待っていたアンヌが手を振る。
「リジー、格好良かったよ!」
後から着地してリーサが、リジーの肩を軽く叩いた。
「皆、よくやったな!これで俺達の後ろのチームは全員戦闘不能だ」
セザールが拳を突き上げる。

「あのさ、待ってる間に考えたんだけど、私達より順位が下のチームを倒しても、結局順位は上がらないんじゃない?」
エリアナが首をかしげて言った。
セザールが硬直する。
「い、いいんだ!ビリになる心配が無くなったからいいんだ!」
「順位は上がらなくても、大勢倒すと成績は上がるって話だよ」
ライオネルが、疲れた肩をほぐしながらフォローした。


チームメイトの会話を聞き、リジーは思わず笑みをこぼした。
どうなることかと思っていたが、お互いをカバーしあえる良いメンバーなのかもしれない。

「楽しそうだな」
ラーシェスに言われ、リジーは頷いた。
「まだまだ、走れそうな気がするの」


森も、空も、ゴールまでずっと。
彼らと共に駆けて行きたいと、リジーは思った。














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~ Comment ~

こんばんは!

感想ありがとうございます!

普段目立たないリジーを、どうヒロインにするか試行錯誤したので、妖精と言っていただけて嬉しいです♪

やはり戦闘シーンは難しいですね(^_^;)
自分で設定しておいて、「1チームの人数多すぎ!」と思いました(笑)
リジー中心ということで、彼女から見える範囲を書くことで、なんとか後編に詰め込んだ感じです。
リーサとライオネル、ラーシェスには少々大人しくしてもらい、代わりにセザールに頑張ってもらいました^^
特にリーサは、ずっと上空待機で不在だったので、シリーズ後半で頑張ってもらおうと考えています。

リジーとチームメイトの関係性が伝わったのなら幸いです(*^_^*)
観戦組の存在を覚えていてくださいましたか!
これは、ゴールまで気合を入れて書かねばなりませんね☆

おそらく8月中には続きをUPしますので、また気長にお待ちくださいm(__)m
それでは!

こんにちは!

こんにちは!きたぴです。
感想遅くなってすいませんm(_ _)m
今回も楽しく読ませて頂きました!

最初に読んだ印象は、リジーちゃんマジ妖精!だと思いました。
エリアナさんとアンヌさんが、蝶に変身して敵が来た時に応戦する展開は、読んでいて熱かったです!
このシーンを想像してみると、二人のカッコよさにによによしていました。

エリアナさんの木の枝や蔓を使った補助系魔法と、セザールくんの豪快な剣術が上手く組み合わさって、迫力ある展開でした。
担ぎあげられるラーシェスくんが、なんだかいつもと違う一面があって素敵でした。
セザールくんの見せ場が多くて、キャラがつかみやすかったです!
光の帯で逃げ回りながら、同時に敵も締め上げる・・・なかなかの良い作戦ですね!

今回のお話では、ラストのさわやかさが特に好きです。
奥手なリジーちゃんが、味方とのチームワークで自信を持った様子が伝わってきました。

これからも、癖のある敵が多く出てきそうですね!
観戦組や、他のキャラとのバトルも楽しみです~


では、失礼致しました!
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