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【一次創作】Dragoon

『いつも見ている』(サバイバルレース編③)

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サバイバルレース編、第3話です。

前回の更新から約4か月も経ってしまいました!

今回は、ドランディーと、トルディオ達観戦組のお話。
新キャラではないですが、名前だけのみ出ていた別の守護竜が登場します。




太陽は地平線の彼方に消え、夜が訪れた。

日が暮れてからの戦闘はルール違反ではないが、しっかり休んだ方が明日の戦いが有利になる。
生徒達の多くは、他のチームと適度に距離を保ち、丘のふもとにテントを張っていた。




キャンプ地から少し離れた所で、ドランディーは1人草をかき分け、何かを探している。
頭上には、魔法で出した光の玉がふよふよと浮いていた。
「これか……?」
丸くて固い物を摘み上げ、じっくり見た後ポイッと捨てる。
ただの石ころだ。

「何やってるの?」
背後から声をかけられ、ドランディーは振り返った。
彼と同じように、頭上に光の玉を浮かべたシェアナが立っている。

「ああ……シェアナ嬢。こんばんは」
「貴方も探し物?私も、この辺に落し物をしちゃったのよ」
シェアナの言葉に、ドランディーは満足そうに頷いた。
「やっぱり、貴女のでしたか。そう思って、探してたんですよ」
「え?」
シェアナは目を見開く。
「ひょっとして、私の物を探してたの?」
「ええ。日暮れ前に見かけたんですが、その時は拾えなかったもので」

「呆れたわね」
心底呆れた声で、シェアナが言う。
「今がレース中なの、分かってるでしょ?敵チームの落し物を探すなんて、どういうつもり?」
「見つけたら、レースの後に渡すつもりでした」
ドランディーは、そう言い訳した。
自分でも、どうかしていると思う。
でも、あれをそのままにしておくなんて、どうしてもできなかった。

「まぁ、いいわ。2人で探せば、早く見つかるし」
シェアナは、ふぅと息を吐く。
「ここで会ったのは、お互い内緒にしておきましょ」
「もちろん」
2人は並んでしゃがみこみ、わずかな光を頼りに探しものを続行した。




そんな2人の様子は、遠く離れた竜騎士学園の食堂で、ちゃんと見られていた。
レース開催中、食堂の白壁には、魔法で生徒達の様子が映し出されている。
昼間は地域の住民もやって来て、軽食をつまみながら観戦していたが、今は学園関係者が数名残るだけだ。

「何やってんだ、あの坊ちゃん」
ワイングラスを片手に、トルディオが首をひねる。
「おい、ルーク。お前んとこのボン、あれで大丈夫か?」
トルディオの隣に座る赤毛の少女、赤竜ルクレティアスは顔をしかめた。
「ドランディー坊ちゃんは眉目秀麗、成績優秀。女性のためなら労をいとわない紳士。サグワル家の跡取りとして文句のつけどころがないわ」

サグワル家は、トルディオとリーサが世話になった孤児院を運営している名門貴族で、ドランディーは現院長の孫にあたる。
一族揃って美形で好色なことで知られており、ドランディーにも異母兄弟が沢山いるが、彼が1番優秀なのは明らかだ……とルークは言う。

「そうですね。彼は学年で2番の成績ですよ」
トルディオを挟んで、ルークと反対側に座ったフェルマンが言った。
「ちなみに、1番はラーシェスですが」
自慢気にそう付け加える。
「座学なら、確かにマンリーの息子には敵わないでしょう。でも、技術的なことに関しては坊ちゃんの方が上よ」
「お前、マンリーのことを知ってるのか?」
トルディオが尋ねると、ルークは更に眉間の皺を深くした。
「当たり前でしょう。あんたがトーツェに行ってる間にも、私はここに毎年のように来てるの。知ってるに決まってるじゃない」
「でも、こんなに大勢生徒がいるのに?」
直接関係ない人の名前は覚えないトルディオにとって、信じがたい話である。

「あんたを知ってる守護竜は皆、トーツェから来たジェイリアスに会いたがった。あんたが姫の嫁入りについて行くなんて、結構ショックだったのよね。トーツェで、あんたがどうしているか知りたかったの」
ルークはドランディーの映像から目を離し、どこか遠くを見つめた。
「彼から、あんたが元気にしてると聞いて安心したわ。ジェイリアスが学園を卒業した後も、私達はずっと見守っていた」
そこで一旦言葉を切り、少し考えてから続ける。
「あんたの代わりに、彼が来たような気がしたのね。彼は魔族だけど、親しみを感じてたのよ」
「そういえば、ラーシェスが1年生の頃、どこかの守護竜殿に『マンリーの息子はどうしているか』と訊かれたことがありました。銀竜殿のお友達だったんですね」
フェルマンが、トルディオを見て言った。

「ありがたい話だな」
空になったグラスをテーブルに戻し、トルディオは呟く。
同情されるのが嫌で、ディーズ王国に戻って来てから、守護竜の仲間にはなるべく会わないようにしていた。
しかし、彼らはずっとトルディオを覚えていて、彼の代わりと思ってマンリー親子を見守っていてくれたのだ。
今度会ったら礼を言おう……と、トルディオは思った。




「あった!」
ドランディーが叫んで、青い宝石を掲げた。
それはシェアナの剣の柄頭に付いていたもので、玉子ほどの大きさである。
昼間、敵チームの攻撃が中り、落下してしまったのだ。
「良かった!ありがとう!」
シェアナは立ち上がり、うーんと背伸びをする。
「でも、よく私のだって分かったわね」
「女の子の持ち物は、日ごろから良く見てるんですよ」
シェアナの問いに、ドランディーは真面目な顔で返答した。

「その宝石、ラーシェスが作ってくれたのよ。それを、彼のお師匠様が剣に付けてくれた」
腰に下げた剣を指さし、シェアナが言う。
「知ってます。僕も貴女と同様、あいつの作ったものは見れば分かりますから」
「え?」
シェアナは、驚いて目を見開いた。
「仲が悪いと思ってたけど、本当は仲良しなのね?」
「……違いますよ。ライバルなんです」
ドランディーは、心外だという顔で訂正した。

自他共に認める美貌と優秀な頭脳をもってしても、ラーシェスは強力なライバルである。
だからこそ、彼の作ったものをその辺に落としておくことはできなかった。
誰か別の人に拾われたり、壊されたりするのは我慢できない。
それは、ドランディーの尊厳を酷く傷つけるように思われた。

「ドランディーが居てくれて良かったわ。ほら、ラーシェスって友達が少ないから」
シェアナは嬉しそうに言う。
「いや、だから友達とは違うんですって」
ドランディーは、首をぶんぶん振って否定した。
「でも、ドランディーが居なかったら、ラーシェスは競い合う人が居なくて寂しかったと思うわ」



ドランディーから宝石を受けとり、「おやすみなさい」と手を振って、シェアナは仲間達のテントの方へ戻っていった。
その姿を見送ってから、ドランディーも自分達のテントの方へ歩き出した。
「居ないと寂しい、ねぇ」
シェアナの言葉を繰り返し、フッと笑みをもらす。
それは彼女の勝手な想像にすぎない。

だが、もしそれが本当なら、なかなか気分がいいではないか。



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~ Comment ~

こんにちは!

きたぴさん、こんにちは!
早速の感想、ありがとうございます(*^_^*)

観戦組は、もう少しフェルマン先生の出番を増やしたかったのですが、ルークが出張ってしまいました(笑)
ラーシェスは、彼の父親を知っている人には「マンリーの息子」として見られてしまうので、父親とは関係なしに彼を彼として見てくれるキャラは、貴重だったりします。
なので、ドランディーとの関係も一応大切にはしているようです。

キャラ同士の繋がりを感じていただいたようで、ありがとうございます(^.^)
タイトルにも、いつも誰かが誰かを見ているという意味を込めてみました!
守護竜達がマンリー親子やトルディオを見ていること、ドランディーがシェアナやラーシェスを見ていること、そしてその逆もあること……
ドランディーとラーシェスのコンビの話も、いつか書きたいと思います♪

では、コメントありがとうございました!

こんばんは!

こんばんは!きたぴです。
ツイッターで呟かれていたので、早速読んでしまいました(^^

観戦組の登場で、物語がまた別の視点で展開されていて面白いです。
意外と、シェアナさんとドランディーくんのやりとりは守護竜さんたちにはバレバレだったんですね(笑)
冒頭の探し物が、上手く人物の回想につながっていて、世界に入り込みやすかったです。
ラーシェスくんがなかなかの愛されキャラで、ライバルからも一目置かれていて、いい関係を築いているみたいで、なんだか気持ちがあたたかくなりました!
青春のライバルってさわやかですね(*^^*)
シェアナさんは、誰であっても対等に接して、人と人の橋渡しもできるんだなと、もっと好きになりました(>v<)/

物語の冒頭で登場したルクレティアスさんが出ていますね。
さばさばした性格で、主人たちに誇りを持っている姿が好印象です(^^

今回は、全体的に人との繋がりを感じるお話でした!
ルクレティアスさんとマンリー親子、トルディオくんと仲間の竜たち、そしてラーシェスくんとドランディくん・・・みんなお互いを気にかけて、直接ではなくても助けあっているんだなぁと、キャラ同士の絆を感じました。

今回も面白かったです!またぜひ読ませて下さい(^^
では、失礼致しました!
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