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【一次創作】Dragoon

『追いかけるもの(上)』(サバイバルレース編④)

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もう2月ですが、今年もよろしくお願いいたしますm(__)m

年末に退職して実家に戻り、現在は気ままなフリーターをやっております。
新年度からは新しい仕事につけると良いなぁと思っていますが、もう正社員とかにこだわらないことにしたので、しばらくフラフラしているかもしれません。

新年最初の更新は、サバイバルレース編最終話です……が!
予定より長くなってしまい、上下に分けました(>_<)すみません!
今までサボっていた、呪文の創作をしています(笑)
やはり最後はリーサをメインにしました。





夜が明けると同時に、リーサ達のチームは野営地を出発した。
他のチームが寝ている間に、遅れを取り戻そうというのだ。

丘を越え、荒野を過ぎると、王都に入る門がある。
そこから先は民家があるため、空中戦は禁止になり、代わりに竜に乗って走ることが許される。
門をくぐるまでに前方のグループに追いつかないと、上位に入ることは不可能だ。



「最終的には、竜をどれだけ速く走らせられるかが勝負だな」
丘を登りながら、先頭のセザールが背中越しに言った。
「やっぱり、最後は俺とエリアナが手綱を持つのが良いだろう。先輩とラーシェスは、俺達の援護。他の3人は、遅れないようにしてくれればいいから」
リーサとリジーは、眠い目をこすりながら頷いた。
ライオネルだけが、納得いかないように首を振る。
「はっきり言って、この中では俺が1番体力があると思う。ただ付いていくっていうのは……」
「分かった。じゃあ、お前が先頭になれ」
セザールは、気を悪くした風もなく、軽い調子で言った。
「体力のある奴が、前にいた方がいい。俺達のことは気にしないで、お前のペースでどんどん進め」
「いや、そういうつもりじゃ」
ライオネルは、戸惑った顔でセザールを見上げた。
「さぁ、走って、走って!ただ、1人になると危ないから、あんまり離れないでよ」
エリアナがライオネルの背中を押す。
ライオネルは渋々セザールの前に出て、駆けだした。
「遅い!もっと速くー!」
エリアナも駆け足でセザールを追い越し、ライオネルを急かす。
セザールは、しんがりで竜を引くラーシェスに「頼んだぞ!」と言って走りだした。



「私達は、無理のないペースで行きましょうね」
ラーシェスと並んで竜を引きながら、アンヌが残ったメンバーに言う。
だが、リジーはふわりと宙に浮くと、軽やかに3人を追って飛んで行った。
リーサも負けじと速度を上げる。
「あらあら。皆元気ね」
アンヌはふふっと笑みをこぼした。
「転ぶなよ!」とラーシェスが叫ぶ。


走ることで目が覚めたリーサは、昨日のレースを思い返した。
他のメンバーに比べて、自分はチームに貢献できなかった気がする。
まだ1年生だから仕方ないのだろうが、来年までに彼らの役に立つような人物になれるだろうか。
今だって、全力で走っているのに、リジー達はどんどん小さくなる。

いつか彼らに追いつくことなんてできるのだろうか……
リーサは、首から下げた黄色の石を握りしめた。
幸運の石だと教えられ、ドレイトンにもらった時からずっと着けているのだ。



リーサが丘の頂上に着くころ、眼前の空に太陽が顔を出した。
ライオネル達は既に丘を下っていたが、何やら慌てた様子で前を指さし、顔を見合わせている。
「敵チームだ」
隣に立ったラーシェスが、朝日に目を細めて言った。
王都を囲む城壁が黒々とそびえ立ち、そこにぽっかりと門が開いている。
そこに向って、どこかのチームが猛突進しているのが見えた。
丘から門までは、数百メートルの距離である。

ライオネルがスピードを上げ、敵チームの1人に追いつた。
相手の腕を引っ張り、転ばせる。
「ハハハッ!あれ、ドランディーじゃないか」
転んだのがライバルのドランディーだと分かり、ラーシェスは笑い転げた。
「よし、乗れ」
上機嫌でリーサに手綱を渡し、自分は竜の尾に近い方にまたがる。
「え?私が操縦するの?」
「そうだよ、急いで!」
リーサはラーシェスの前にまたがり、竜の腹を蹴った。

竜は一度グッと足を曲げ、強く地面を蹴った。
翼を広げ、高く舞い上がる。
アンヌは、もう1頭の竜にまたがり、後をついてきた。
あっという間に、2頭はリジー達に追いつき、高度を下げる。


セザールが腕を伸ばしたので、リーサはギリギリまで竜を寄せた。
ラーシェスが彼を引っ張り上げる。
セザールが竜にまたがると、ラーシェスが入れ替わりに飛び降りた。
ライオネルと取っ組み合っているドランディーに駆け寄り、背中に蹴りをいれる。
「いってーな!何すんだよ!」
ドランディーは喚き、ラーシェスに殴りかかった。
その間に、アンヌはリジーとエリアナを竜に乗せる。
「あいつらのことは放っておいて、他の南寮生を追うぞ」
セザールがリーサの後ろから指示を飛ばした。
南寮生達は、ドランディーを助けるよりも門に到達することを優先し、未だ走り続けている。


敵チームの竜が2頭、こちらを振り向いて火を噴いた。
アンヌ達は後ろに飛び退き、リーサ達は上空へと逃れた。
敵の2頭は火を噴きながら、じりじりと後ずさりをする。
その隙に、前方を走る南寮生はついに門をくぐった。
リーサは咄嗟に叫んだ。
テラ アウタ!

ドスン!

南寮生達の足元の地面に、突然大きな穴が現れ、竜もろとも落下した。
チームメイトとドランディーはピタリと動きを止め、唖然としてその光景を見つめた。
リーサは竜の腹を強く蹴った。
竜が弾丸のように前に飛び出す。
続いて我に返ったアンヌが後を追い、ラーシェスとライオネルは全速力で駆けだす。
リーサとセザールは門の手前で竜を降り、歩いて王都に入った。
穴の脇を通り過ぎるとき、南寮生が一心不乱によじ登ってくるのが見えた。

アンヌ達は穴の淵に降り立ち、南寮生が出てくるのを防ぐために魔法でシールドを張った。
ほどなくラーシェスとライオネルも追いつき、門をくぐる。
2人を追ってきたドランディーは、穴の前で立ち止まった。
「東寮のお嬢様方、素晴らしい魔法ですね!攻略するのが大変そうです」
女性陣に向かってお世辞を言ってから、男性陣には「さっさと行ってしまえ」と追い払うしぐさをする。
「言われなくても行くさ!」
セザールはドランディーに向かって叫び、チームメイトを2組に分けて竜に乗せた。
1組目がセザール、リーサ、リジー、ラーシェス。
2組目がエリアナ、ライオネル、アンヌである。
予定通り、セザールとエリアナが各竜の手綱をとってラストスパートをかけた。


リーサの後から、リジーが声を潜めて尋ねた。
「さ、さっきの、リーサがやった?」
「うん。消失魔法で、地面を消したの」
リジーにつられて、ひそひそと返答する。
「ど、どうして今まで使わなかったの?あんなに凄いのに!」
リーサは答えにつまった。
消失魔法は得意なのだが、消したものを元に戻せないし、誤って別のものを消してしまわないかが怖くて、なるべく使いたくないのだ。
「失敗するときもあるし……」
「それは、誰でもそう」
思いがけず強い口調で、リジーは言った。
「でも、あれは自信持っていいと思うの」
「自信か。そうだね」
石の力だけでは変われないと言われたことを、リーサは思い出した。
「ありがとう。これからは、もっと自信を持って使うことにするよ」
リーサはリジーに笑いかけた。
胸元の石が、ほのかに温かくなったような気がした。












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~ Comment ~

こんにちは!
こちらこそ、返信が遅くなってすいません(>_<)

今回でゴール!と思ったら甘かった(笑)
もう1話続いてしまいます(^_^;)
あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです。

寮ごとの特色はありますね^^
西寮は1人1人の力が弱いので集団戦法。
南寮は黙々と任務を遂行するタイプ。
それに比べると、東寮はのんびりしてるかもしれません。
そして北寮は…次回、の予定!
あとは、ゴールで待ってる観戦組の皆さんがチラリと再登場します。

ここにきて石の伏線(?)を回収してみたり。
いつも丁寧な解釈ありがとうございますm(__)m

他のメンバーは大分エネルギーが切れてきたので、後半はリーサとライオネルに頑張ってもらうしかありません(笑)
ドランディーは、まじめに相手をすると疲れる奴ですが、ちょっと話に登場してくれるとホッとするところがあります(´v`)

それでは、コメントありがとうございました!


NoTitle

こんばんは!
コメント遅くなってすいませんm(_ _)m

サバイバルレース編、ついにクライマックスが近づいてきましたね!

寮によって、戦い方に色があるのかな?と思いました。
リーサちゃんたちの東寮は、和気あいあいとしたチームプレイで、見ていてほっとします。
それぞれの長所や、特技を生かした戦い方ですね!
ドランディーくん達の南寮は、とにかく目的遂行がメインで、東寮の生徒との競り合いにハラハラします。
ドランディーくんのちょっぴりお調子者なところが、なんだか好きです(^^

リーサちゃんの、仲間に協力できていないかもしれないという引け目と、心の中から湧いてきた少しの自信。複雑な心境変化も、キャラとのやりとりを通じて、じっくり理解することができました。
リジーさんも、自分に何ができるのか分からないという不安を乗り越えたからこそ、リーサちゃんの気持ちに寄り添えるのかもしれませんね。
それに、ドレイトンさんからもらった石も、一歩踏み出す勇気をくれたんだなと密かに解釈してみます(^^

自信と決意を新たにしたリーサちゃんの、後半の活躍も期待しています!
また、冒頭のセザールさんとライオネルくんのやりとりも、後半にどうつながるのか気になります・・・

では、長文失礼致しました!
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